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​技術紹介

① 生態系の状態分析

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対象とする農林地等で調査を実施した上で、採取したサンプルをDNA分析し、生物種の多様性に関する膨大な情報を取得します。その上で、生態学・統計学・微生物学等を融合した分析を実施し、生態系の状態を診断するとともに、適切な管理を行うための管理手法を提案します。

② 生態系内の「コア」分析

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上記の生態系データにネットワーク科学や機械学習(人工知能)を基に開発した分析技術を適用し、生態系内で中核的な役割を担っている「コア生物種」を特定します。これまで「ブラックボックス」とされてきた生物間の複雑な関係性を読み解くことで、資源利用効率の高い循環型の生産システムを実装する鍵を見出します。

③有用生物の探索と資源化

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生物多様性と生態系に関する膨大なデータを基に、生物資源を効率的に探索します。どういった生態系に新たな生物資源となる生物種が生息しているのか分析した上で、社内で蓄積した微生物学のノウハウを基に、最適な単離培養条件を見出します。農林水産業・環境・工業・創薬分野における新たな生物資源の開拓を通じ、SDGsに沿う新規事業開発に貢献します。

農林業における技術適用事例
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作物の健全な生長には、健全な土壌が必要です。これまで、土壌の化学性や物理性に関する分析を基に土壌の状態が診断され、農地の管理に活かされてきました。しかし、農地土壌内で起こる複雑な過程をモニタリングし、持続可能性の高い食糧生産システムを構築するためには、土壌機能に関するより包括的な評価体系が必要となります。


そこで鍵となるのが、土壌中に生息する無数の微生物種に関する情報です。微生物叢の構造を分析することで、その土壌が生物にとってどのような環境にあるのか、直接的に評価することができます。一箇所の農地には少なくとも数千種の微生物が息づいていますので、その生態系を一挙にDNA分析することで、数千項目のセンサー(測定項目)で農地の状態を把握しているかのような情報が得られます。
 

サンリット・シードリングスでは、生態系のDNA分析を低コストかつ迅速に分析する手法を開発するとともに、土壌生物叢のデータベース化と生態系診断技術の高度化を進めています。こうした一連の技術を農業の現場に適用する事業を通じ、最小限の肥料・農薬・管理コストの投入で持続可能型農業が実現するしくみづくりを行なっています。

京都大学 基盤技術例: 植物と真菌の地下共生ネットワーク分析
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Toju et al.(2018) Microbiome 6:116

植物は4億年前に陸上に進出し始めましたが、その頃から水分やリンの供給を共生する真菌類(カビ・キノコ類)に依存してきました。植物根に共生する多様な「菌根菌」や「内生菌」たちは、こうしたインフラとしての機能の他に、植物を病害虫や環境ストレスから保護する役割を果たしています。この地下の共生システムの状態を把握することで、土壌の健全度を診断するとともに、起こり得るリスクに対する具体的対処を適宜に行なっていくことが可能になります。

養殖・水環境分野における技術適用事例
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世界中でタンパク質の需要が急激に伸びる中、水産資源の枯渇が懸念されています。資源利用効率の高いタンパク質生産システムとして養殖に大きな注目が集まる中、水圏生態系のモニタリング技術が養殖システムの安定管理における鍵となっていくと考えられます。
 

養殖システム内には、魚の老廃物を分解して水を浄化する微生物や、魚の腸管に共生して免疫や栄養素(ビタミン等)の獲得に大きな役割を果たす微生物が生息しています。膨大なDNA情報をもとにこうした微生物たちで構成される生物叢の構造と動態を分析することで、効率的かつ安定的に養殖システムを管理することができると期待されます。
 

こうした水環境の生態系分析は、湖や河川、干潟、内湾といった環境の管理にも応用することができます。微生物だけでなく、魚類やプランクトンのDNAを分析して包括的に水環境の状態を把握することで、生物多様性保全や環境再生の到達度を評価しつつ、管理・保全上の具体的な改善策を提案することが可能になっていくと期待されます。

京都大学 基盤技術例: 養殖タンク内の微生物叢動態分析
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Yajima et al.(2023) Microbiome 11:53

陸上養殖システムにおいては、水の浄化だけでなく、魚の成長や病気の予防といった面において、微生物が重要な役割を果たしていると考えられています。膨大なDNA情報に基づく分析により、養殖システム内の微生物叢が劇的に変動していることが明らかになってきました。また、この微生物叢の構造によって、養殖されている魚の活性が大きく変化していることも明らかになってきました。水環境を安定的に管理していく上で、微生物叢の情報を統合する技術が鍵になってくると期待されます。

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