事業コンセプト
複数の科学領域を融合した新たな技術による課題解決
生態学 × ゲノム科学 × ネットワーク科学の融合
野外調査から地球上の生物多様性と生態系の構造を俯瞰する生態学、生物機能をDNA情報から読み解くゲノム科学、ビッグデータを基にシステム全体の構造を解き明かすネットワーク科学。
この3つの領域を基盤とした統合的な科学アプローチで、地球規模の課題を解決する新しい戦略と技術を提供し、持続可能な産業の実装や新規事業開発をサポートして参ります。

サービス

① 生物多様性・生態系の調査・サービス設計
お客さまの課題を解決するために必要な試料採取や生物多様性・生態系分析を設計し、調査を行います。生態系調査やサンプリングを当社の独自ノウハウで行うことにより②の工程での生態系の機能、構造の解明、③の工程での有用な機能を持つ微生物の資源化を可能とします。

② 統合データ解析
当社のシーズ技術である植物―微生物共生ネットワーク解析技術や微生物叢動態解析技術、機械学習などを用いて、生態系における未知の機能や動態を解明します。農地・森林・草原といった陸域生態系限らず、淡水・海水域の生態系、活性汚泥内や発酵槽といった人工生態系も分析の対象としております。
微生物叢の構造把握、制御、機能改変などによる微生物叢の新たな利用技術の開発、微生物叢動態の最適化による生物処理の改善・安定化、農林業における病害被害の解明や制御法の開発に必要な知見を提供します。大規模DNA分析を基盤とした解析のため、細菌・真菌に限らず、植物・動物・原生生物といった幅広い生物群の多様性を分析可能です。

①で採取した試料に含まれる微生物を単離・資源化します。その上で、当社のシーズ技術である生物多様性・生態系の俯瞰解析を基に、有益な生物機能を持つ微生物をスクリーニングします。当サービスにより、有機物分解や発酵能、抗菌・制菌物質生産能、農林業における植物活性能・病害抑制能などを有する微生物を資源化し、農林業、工業分野での利用をサポートいたします。
③ 微生物の資源化


④ コンサルティング
②で得られた知見をベースに、植物栽培における資材コストの低減や収量向上につながる知見の提供、活性汚泥や発酵といった微生物利用技術の改善・改良、微生物の新規な利用法・資材化といった新しい技術/事業開発をサポートいたします。
多分野融合科学技術の開発を行う当社ならではのノウハウ・体制により、生態学・微生物学・ゲノム科学・ネットワーク科学にわたる複数の科学領域を融合させたプラットフォームでの実験・開発計画の立案・実行をサポートいたします。
生物種の多様性や生物種間の関係性が失われてしまった劣化生態系では、多くの重要な生物機能が失われてしまっています。②のデータ分析で得られた知見をもとに、生態系の「コア」となっている生物種や生物種のセットを見出し、生態系機能を修復するために必要な具体的技術を組み立てます。
陸域・水域の自然生態系の修復に限らず、持続可能で資源利用効率性の高い農林業生態系の実装を、バックキャスト思考でサポートします。当社が保有する植物―微生物共生ネットワーク誘導技術などを用いて、設計した生態系を科学的に誘導し、SDGsの観点で先進的かつ経済的に価値のある農林業経営を実現する生態系づくりをサポートします。
⑤ 生態系コア修復

⑥ 微生物資源の利用
③で資源化した微生物資源と当社が保有する植物―微生物共生ネットワーク誘導技術などを用いた「強化苗」の作製、菌資源を用いた農業資材・バイオスティミュラント、その他の各種農林業・工業資材の作製技術の開発などを行います。また、強化苗や各種資材の作製に必要な菌資源のご提供も行います。
事業例
〈農業分野〉環境保全型の共菌農業の創出

農地の土壌生態系の最適化
農地の土壌は、現在のような使い方を続ければ、有機物が減耗するとともに水や風で侵食され、食糧生産に適さない土地になります。そうすると、食糧生産量を確保するために貴重な森林を伐採することになります。この悪循環を断ち切るためには、農業生態系を最適化して、劣化した土壌を再生することが急務であると考えられます。
農地としても自然生態系としても荒れてしまった土地を土壌生物叢から再生し持続可能な農業を行える生態系とするため、複雑なシステムをDNA情報とネットワーク科学を用いて科学的に解明し、特に真菌と植物の相利共生関係を利用した環境保全型農業という代替策を提案しています。


共生菌未摂取のトマト(左)と菌摂取済のトマト(右)

共生菌未摂取のコマツナ(左)と菌摂取済のコマツナ(右)の
対照実験の様子
Toju et al. (2021). Frontiers in Microbiology